青色申告と白色申告の違い。メリットやデメリットについて
2021/08/04
青色申告と白色申告の違いや、それぞれのメリット・デメリットについて解説します。
青色申告と白色申告の違い
個人事業主が行える確定申告には、「青色申告」と「白色申告」の二つの種類があります。
青色申告で申告する場合は、事前に申請書を出す必要があり、それ以外は白色申告ということになります。
両者の違いをざっくりというなら、ずばり以下の2点に絞られます。
- 手間がかかるかどうか
- 節税効果が高いかどうか
それではそれぞれ見ていきましょう。
白色申告とは
白色申告は単式簿記という形式でつけた帳簿で申告します。
税務署への事前の申告なしだと白色申告しかできません。
全体として、手続きが楽な分、節税効果が低いため、個人事業主にとっては消去法的に選ぶことになります。
白色申告のメリット
白色申告のメリットは以下の通り。
- 帳簿付けが楽
- 税務署からの風当たりがゆるめ
- 事前の届け出が不要
一つずつ見ていきましょう。
帳簿付けが楽
白色申告の最大のメリットがここにあります。
白色申告には単式簿記という記録方法を使います。単式簿記は、会計の知識がほぼいらず、最も楽にできる記録方法です。
下記画像のものですね。
お小遣い帳や、家計簿なんかが単式簿記に該当します。
税務署からの風当たりがゆるめ
一般的に、節税効果が低い白色申告を利用するのは、所得が低い個人事業主などが多いです。
厳しく追及しても、搾り取れる税額が大したことないため、税務署の対応も比較的緩いといえます。
もちろん表面上、税務署はそれを認めませんが、そういった空気は確実にあります。
税務署の使命は、より多くの納税額をかき集めることです。
極端な話、所得が100万の人をつついて10万そこいらを追徴させるより、ウン十億円稼いでる会社の粗探しをしてウン千万円ぶんどった方が、リターンが大きいわけです。
税務署内の白色申告コーナーを利用するとわかりますが、税務署員に「うん、昨年いくら儲かったの?まあ正確なのわからなかったら、まあ大体でいいよ」みたいな言い方をされます。
事前の届け出が不要
白色申告は、なにも事前提出せずに利用することができます。
白色申告のデメリット
白色申告のデメリットは以下の通り。
- 節税効果が低い
これに尽きます。では見ていきましょう
節税効果が低い
白色申告には、青色申告にあるような「青色申告特別控除」がありません。
「青色申告特別控除」とは、おおざっぱにいえば税金が安くなる特典のことです。
実際にどれくらい違うかというと、例えば所得が300万円の場合で6万円程度安くなります。(本当は細かい条件で違いますが、大体のイメージとして)
白色申告には、この特典がありません。手続き等がいろいろとお手軽で楽な分、節税効果も低いのです。
青色申告とは
青色申告は、複式簿記で帳簿付けを行い、財務諸表等を作成して税務署に提出します。
申告には事前に、開業届や申請書も提出しておく必要があります。
全体として、手間がかかる分、高い節税効果が得られます。
青色申告のメリット
青色申告のメリットは以下の通り。
- 節税効果が高い
- お金の流れがより詳細にわかる
一つずつ見ていきましょう。
節税効果が高い
節税効果の高さは、青色申告の最大のメリットです。やる理由はこれに尽きます。
青色申告には、白色申告にはない特典が多くあり、それらを利用することで結果としてかなりの節税となります。
最大65万円の特別控除、専従者給与、赤字繰り越しなど、いずれも青色申告でしか利用することができません。
白色申告でやった場合とは、天と地ほど納税額が変わってくることもあるため、儲けている多くの個人事業主は青色申告を利用することになります。
お金の流れがより詳細にわかる
青色申告では、白色申告より詳細な簿記を行い、あらゆるお金の流れをクリアにまとめて記載することになります。
普段の取引が丸裸になるわけなので、いつ、なにがどれくらい儲かったか、使ったかなどの数字を具体的に把握しやすくなります。
財務諸表を見れば、自分の事業のお金についての現状が詳細にわかるのは、今後の事業運営においてもメリットといえます。
青色申告のデメリット
青色申告のデメリットは以下の通り。
- 帳簿付けが複雑
- 事前の届け出が必要
一つずつ見ていきましょう。
帳簿付けが複雑
これが最大のデメリットです。
青色申告では白色申告に比べて、詳細な帳簿を提出する必要があります。
これらの帳簿は複式簿記の形式で書くことになるのですが、これが素人にはとても難しいです。
複式簿記には、会計や簿記試験3級以上の知識が必要とされます。
会計ソフトや青色申告ソフトを使うにしても、最低限の知識は必要となります。そもそも知識が全くない場合は、ソフトを使えるようになるのも時間がかかります。
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事前の届け出が必要
青色申告の利用には、事前に「開業届」を出し、さらに「所得税の青色申告承認申請手続」を提出する必要があります。二つ同時に出すこともできます。
これらは期限があるので、注意してください。期限をすぎると、その年は青色申告ができず、白色申告で申告することになってしまいます。
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