覆面ビリオネアの面白さと日本での実現可能性について
2022/07/14
覆面ビリオネアがめっちゃ面白い
Youtubeのディスカバリーチャンネルでやっている「覆面ビリオネア」という企画シリーズがとても面白く、最近はまっています。
どんな内容なのかというと、この記事を読んでいる人には説明不要と思いますが、とある大富豪が身分を隠して起業し、3か月以内に1億円規模のビジネスを作れるかという内容。
無料公開されているので詳しくは見てみてください。
この記事の時点ではEP4まで公開されています(全EP8らしい)。
ディスカバリーチャンネルといえば、アメリカの人気TV番組です。なので動画も安定のクオリティ。
内容はエンタメとしての面白さもさることながら、ビジネスの姿勢について含蓄のある台詞や考え方も多く、ビジネスパーソンに響く内容だと感じました。
で、見ていくうちに気になったのが次のこと。
覆面ビリオネアの内容は、現代日本で実現可能なのか?
動画内の舞台はアメリカです。
挑戦者もアメリカ人の大富豪。
当然、現代アメリカで成り上がるために、アメリカの社会システムを駆使することになります。
挑戦者の富豪は、ビジネスの原資をゼロから作り上げていく過程で、いろいろなお金稼ぎを行います。
0から1を作る過程は、現代を生きるヒントにもなりうる内容。
つい、なにか活かせるものがないかという目線にもなります。
なるほどと唸る一方で、「これ…日本じゃできなくね??」なんて思うシーンもしばしば。
以下、日本でできそうなことと、無理そうなことを列挙してみます。
現代日本じゃ無理そうなこと
- 家賃400ドルの一軒家をほぼ即日確保
- 即日営業バイト
- お手軽な中古車転売
- 地元の有力女社長と面談
一つずつ触れていきます。
家賃400ドルの一軒家をほぼ即日確保
富豪はある程度転売で稼いだ後、自分が住むための部屋を探す。その家賃に驚きました。
一軒家が一か月400ドル(5万くらい)
…いやいや。
安すぎん?
舞台となった場所はアメリカのクソ寒い片田舎。それにしたって安いです。
そりゃ日本の北海道の限界都市ならボロ一軒家がそれくらいで住めるかもしれませんが。
それだけじゃなく、番組だと簡易な手続きした後、数日以内にすぐに住めてるんですよね。
日本だと部屋見つけた後、審査やら説明やらめんどくさい手続きが死ぬほどあって、実際住めるまでにもっと時間がかかります。
不動産システムの違いなのかな。
(日本の賃貸システムは本当に複雑怪奇でめんどくさいのでどうにかしてほしい)
追記:
というか偽名で家って借りられるんでしょうか?
即日営業バイト
生活資金を得るためにバイトを探す富豪。
求人サイトで、ペット用のボールを売り込む仕事を見つけます。
面接にいき、採用。
そしてなんとそのまま公園に行って、個人営業スタート。
いやいやスピード感!
番組なので書類関連をテンポのために編集でカットしていたとしても、さすがに展開が速すぎる。
商品についてのOJTとか、そういうのも全部すっ飛ばして売り込みに行ってます。テンポ良すぎぞ。
お手軽な中古車転売
生活資金を得るために、中古車転売を目論む富豪。
さっそく高く売れそうな中古車を発見。
交渉し購入する。
↓
買った中古車を、
交通量の多い道にディスプレイ。
↓
数日後、それを見かけた購入希望者から電話。
交渉して転売成功。やったぜ!
…おい!
テンポよすぎるだろ!
これはほんと驚きました。
アメリカでの中古車転売ってこんなにテンポよくいけるもんなの?って。
成約ペースとかではなくて、手続き等がお手軽すぎる。
例によって書類関連を編集でカットしたとしても、その他の部分もだいぶ日本と勝手が違うように見えます。
そもそもあんな高く売れる車が簡単に手に入るものなのか。
道に車をポーンと置いといていいものなのか。
現金であんな簡単にやりとりできるものなのか。
私は中古車販売についてまったくの素人ですが、あんな道で野菜売るようにアメリカって車売っていいの??
テンポ良すぎて驚きました。
あやうく中古車販売始めるところでした。
追記:
というか偽名で車って売買でき(略
地元の有力女社長と面談
富豪は、どんなビジネスを始めるか探るため、地元でうまくいってるカフェの女社長とアポを取ってました。
これな。
難しいんじゃないのと思いました。
多忙の経営者が、なにも持たない(と装ってる)55歳の男性に時間を割いてくれるものでしょうか?
若者だったら面白さを感じて会ってくれるかもしれない。でも、無職の年配男性の場合、現実的には厳しいのではないでしょうか。
会うからにはメリットが必要なわけで、女社長が富豪の顔を知っていたか、TVクルーが追従していることでなにかを察知したか…。
いずれにせよ、あまり現実的ではないのかなと感じました。支援センターの斡旋だったとか?
現代日本でも出来そうなこと
ここからは逆に、「これ日本でもできるんじゃね?」と思ったところを列挙していきます。
- 廃棄タイヤの転売
- 祝日便乗の記念品販売
一つずつ触れていきます。
廃棄タイヤの転売
日本に廃棄タイヤの宝庫があるかは別として、「価値のあるものが落ちているかも」という点ですね。
一昔前でいうなら中古本のせどりあたりでしょうか。
現代は、社会現象になるほど素人の転売が隆盛していると感じます。
富豪の場合は、本当に原資がゼロだから0円の廃棄タイヤを探していただけであって、多少なり仕入れに使える資金がある人なら同じようなことはできそう。
「捨てる神あれば拾う神あり」の通り、なにかを集めてどっかで売るのは日本でもできそうです。
祝日便乗の記念品販売
アメリカの祝日・聖パトリックデーのお祭り騒ぎに乗じてのグッズ売りさばき。
近所のスーパーで仕入れて、フェスなど盛り上がってるところで売る。
トレンドに乗じて一儲けするという点は日本でも活かせそうです。
年末カウントダウン直前に、ニューイヤーハットを渋谷とかで販売したら結構売れそうですよね。
タピオカブームの店とかもある意味これかも。
(それにしても、一緒にやってた店舗経営者もフットワーク軽すぎ笑)
日本で模倣するにはローカライズさせる必要がある
ここまで読んで「やらない理由を探しているだけでは?」と感じた方もいるかもしれません。
そうではなく、現実として日本とアメリカではいろいろな部分が違います。
政府の政策や公的援助、ビジネス環境、個々人のマインドなど。
そのまま導入実践できることと、そうでないことは区別をつけておく必要があります。
「覆面ビリオネア」で成功に役立つと思ったこと5つ
冒頭でもいいましたが、この動画はヤラセにせよ、そうでないにせよ、教訓になる部分が多いなと感じました。
個人的にいいなと思った部分を挙げていきます。
とにかく前向きでエネルギッシュ
挑戦者の富豪はとにかくエネルギッシュでポジティブです。
企画内でカメラへの意識が多少あるとしても、成功者になるにはこれくらいの挑戦量と前向きさが必要なんだなと思わされました。
まずチームを作ることに注力
これが個人的に最も響いたこと。
事業をやるには
まずチーム作りから着手する。
富豪は、自分ひとりでやらず、人にガンガン声をかけてリクルートしていってます。
私個人の話になってしまうのですが、なんでも一人でやろうとしてしまう思考の癖があります。
他人をあまり信用していないし、完璧主義なのもある。
でかいビジネスをやるなら人の力は必須。
個人はチームに勝てないし、一人じゃ限界があります。
富豪の話に戻るんですが、彼は人を動かすのもまたうまい。あっという間に巻き込んでしまっている。
早い段階でどこに行くにも担当のブレインを引き連れているし、支払うお金がない段階なのに、人を面談して集めている。
BBQ担当者の試食会シーンなんてもうすでに企業とその幹部らの会合みたいになっています。
専門家の力を借りる
この富豪は明らかにマネジメントがうまい。
それが専門家の使い方にも現れているように見えました。
例えば転売用に買った家。
速攻でインスペクターを呼んで家の状態を査定させていました。
カビの除去も自分でやろうとせず、人を雇って作業させています。
ピットマスターも自分でやるのではなく、任せようとしている。
専門家にガッシガシ頼って、できない部分をガンガン外注しています。
外注への思い切りの良さと、任せることを知っているんだなと感じました。
公共の支援を活用する
富豪は支援センターといったものも利用していました。
こういった公共に提供されているサービスは無料で利用できるため、創業期にはとても役に立ちます。
日本にも起業創業支援はたくさんあります。
例えば
など。
利用可能な補助金がないか調べるだけでも、最初期に取れるアクションの幅が広がります。
自信満々の成功者の顔でいること
富豪は、人との接し方も自信に満ちています。
柔和ながらも成功の確信に満ちた態度や話しぶりが、多くの他の人を巻き込んでいるように見えました。
あの自信は、すでに成功している富豪だからこそのものではあると思います。本当に55歳無職だったら、これまでの数々の失敗に自信は砕け散り、あんなに堂々と振舞うことは難しいはず。
でも、それでも。
自信ひとつでああまで違うものなんだなと、感じざるを得ません。
生まれ持った最強の原資は、いうまでもなく自分自身です。
心に富豪を憑依させて、堂々と振舞うことが重要なのだなと思いました。