PS4スパイダーマン感想:ブランドに甘えず、妥協なく作り込まれた傑作
2021/10/07
PS4の「スパイダーマン(Spider-man)」をクリア&100%トロコンしたのでレビュー評価します。
ネタバレなし。
超絶神ゲーでした。
動かして5分で心を虜にされた件
最初に言っておくと私、スパイダーマンには全く興味なかったんですよ。
映画は見たことあるけど、TVでやってたから見たとかそんなミーハー一般人レベルです。
マーベルの知識とかも全然ないです。
それなのに見事にハマりました。
映画を再現できる!街を超高速で移動する最高のスイングアクション
とにかくPS4スパイダーマンの良さはこの「ウェブスイング」に90%が凝縮されていると思います。
このタイトルに興味を持った方も、スイングする動画とかに惹かれた人が大半なのでは。
ゲームを開始して5分でいきなり街をスイングして飛び回れます。
しかも退屈なチュートリアルもなしで。
いきなり。
これが最高に楽しい。
掴みが良すぎる。
移動が楽しいオープンワールドってなかなかないんですよね。
他にはダイイングライトくらいでしょうか。
(一人称視点でゾンビ世界をパルクールするゲームです)
収集要素あつめるのが楽しいオープンワールドって初めてかもしれません。
序盤に全部集めたって人も多いのでは。
スイングアクションの設計思想は全アクションゲームの見本レベル
スイングはその設計思想からしても卓越しています。
アクションゲームってこれを目指すものだと思うんですが、単純ながら難しい。
「テクニカルで複雑な操作を要求」
「素人には難しい」
こうなるのが普通だと思うんです。
でもPS4スパイダーマンは違った。
街をスイングするのなんてボタンでいえばR2押しっぱなしにしてるだけです。
合間にジャンプで×ボタン。あとは軽く方向転換。
「なんて直観的なんだろう…!」初見プレイで感動しました。
そもそもこういったワイヤーアクションを使うゲームって、実は結構あるんですよね。
ジャストコーズだったり、漫画だとワンピースのゴムゴムや、進撃の巨人の立体機動なんかもそうでしょう。
それをプレイヤーに操作させる場合、どこまでをやらせるかというのがゲームデザインの部分になってくると思います。
そういうゲームにおいて、プレイヤーは頭の中で事前に「こんなことをしたい」という期待をします。
その剥離をいかに少なくできるかが、開発の腕の見せ所的な。
「動きはできるが、操作は難しく爽快感に欠ける」じゃだめなんです。
プレイヤーがやりたいのって、ワイヤー撃ちこむところをチマチマ狙ったりすることじゃなかったりする。
簡単な操作で流れるようにビュンビュン移動してって、そういうことがやりたい。
スパイダーマンは需要をくみ取り、できることできないことの取捨選択をし、それをコントローラーのボタン操作に落とし込んだ。
結果、ウェブを撃ち込む場所は選べないけど、直観的で簡単な操作方法の中に爽快感とコントロール性を失わない、しかもかっこいいスイングアクションを生み出しています。
開発陣のインタビューもあるので見てみてください。
街での移動の勢いをいかに殺さないマップデザインを心掛けていたかが語られています。
どれだけ苦悩があったことか。
よくぞ作ってくれました、開発陣!ありがとう!
スイングの完成度は、設計思想においてアクションゲームの見本となる出来だと思います。
簡単アクションでスパイダーマンになりきれる神ゲー
上記のスイング移動もそうなんですが、戦闘もでシンプルで爽快。
連打押してるだけでもかっこよく敵を倒して無双できるし、後半になるとできることも増えてますます楽しくなります。
スイングしながら敵をキックしたり、糸で敵を絡めとったり、まるでデビルメイクライのように撃ちあげて連続空中コンボ!といったスタイリッシュさを追求して戦うこともできます。
街中で起きる犯罪を防いだり、時々起きるチェイスシーンもド迫力。
全体的にロードも短い。
最初に始める時の1回とファストトラベルくらいで、あとはシームレスです。
戦闘でやられた後のリトライもロードありますが、これも短い。
流れるTIPSを読む時間がないくらいです。www
ちなみに普通のPS4です。
全編にあふれる小粋なジョーク。道を歩けば慕われるヒーロー!
スパイダーマンのキャラクター性も良いです。
戦闘中にバンバン喋ります。
ほとんどジョークなんですが、それがまたアメリカンでイイ。
戦闘前、戦闘後もユーモアあふれる小粋な台詞満載です。
押し入り強盗を倒した後に「こんな鍵に手間取るなんて強盗向いてないんじゃないの?」とか。
ウェブスイングで低空を飛べば、人々からは「カッコイイ!」「応援してるぞー」などの声援が聞こえ、NYで彼がいかに愛されているかがわかります。
キモチイイ!
市民とはインタラクトでき、ハグしたり一緒に写真を撮ったりも可能。
あとはなにげに「不殺」が全編を通して貫徹されています。
戦闘でビル外に突き落とした敵もよく見るとウェブで壁に貼り付けられていて細かい。
表の顔であるピーターパーカーも気持ちのいいキャラクターをしています。
大学助手でホームレス支援してて社会問題意識が高くて人助け趣味とかもう人間の鑑すぎる好青年です。
作り込まれた街もすごい
今作はNYのマンハッタン島を舞台にしたオープンワールドです。
広さは他のオープンワールドほどではないですが、作り込みが感じられる出来で、飛び回っていてとても楽しいです。
驚いたのは、建物にある窓がペターっとした絵ではなく、中に空間があるところです。
家具とかも置いてあって、立体感が生まれています。
定番のフォトモードもあるので、写真好きな人にもおすすめできます。
絵になるシーンが多くて、私もついついいっぱい撮ってしまいました。
欠点としてはビル街ばかりで代り映えがしないってことでしょうか。
山や渓谷などの自然があったGTA5ほどバラエティーはありません。
まあ一応セントラルパークとか港湾エリアとかはあるんですが、基本はやはりビル街です。
でも高層ビルないと、糸がかけられないのでしょうがない気もします。
スパイディは摩天楼でこそ生きるヒーローです。
QTEやパズルのスキップも可能!ホスピタリティの塊かよ
なにげにすごく評価できるのは、面倒なQTEやパズルがスキップできる点です。
街をビュンビュン飛び回ってる合間にパズルが出てきてだるいなぁと思ったら、なんと設定で飛ばせるんですよ。
設定→遊びやすさから各項目ごとにオンオフ可能。
これなにげ超親切設計です。
ダルくなりがちな周回でのパズル要素もばっさりカットできます。
こういったスキップって心情の面から入れにくいと思うんです。
だって自分が開発者なら、せっかく頭をひねって作ったパズルをスキップなんてさせたくないはず。
それなのに、ユーザーのためを思ってスキップを入れた。
容易な決断ではないはずです。
ユーザーへの細かい配慮が随所に光る
パズル以外のところもこういった配慮が随所に見られるんですよこのゲーム。
ストーリー中盤からスパイダースーツを変更できるようになるんですが、スーツごとに固有の能力がついています。
普通のゲームだと、スーツと能力が紐づいてたりして、強い能力を使い続けるために見た目も固定されてしまう…みたいなことが多々あるんですが、スパイダーマンはここもきちんと配慮されている。
一度そのスーツをアンロックすれば、スーツとは個別に能力が選べるようになっているんです。
だからいつでもお気に入りの外見で、お気に入りの能力が使えるわけです。
細かいけどほんとユーザー心をわかってる。
あとは基本操作や獲得スキルの画面で、右上にプレビュー動画が表示されたりとかね。
これによって新しくとった技がどんなのか事前にわかるわけです。
これができないアクションゲームが何と多いことか。
ストーリー進行にあわせて更新されてくツイッターぽい「ニュースフィード」とかもある。
見るのは任意で、見ても見なくてもゲームには1ミリも影響しません。
それなのにこの作り込みっぷり。
ローカライズが完璧で、日本ユーザーの言葉遣いが自然に再現されています。
「情弱」とか「w」とか。
本作のローカライズは声優から台詞から本当に完璧です。
こんなん全然公式でフィーチャーされてなかったから、ゲーム買って初めて知った要素だったんですが、それなのにこの作り込みっぷり。
…とこんな感じで、でるわでるわ…。
一体どんだけユーザーのこと考えたらこんだけの作品が作れるんだよッ!?!?
もう意味わかんない。
インソムニアック、凄い。
『スパイダーマン』というブランドに甘えない、妥協のない作り。
キャラゲーの域を完全に超えてます。
正直、AAA級タイトルもだいぶ超えてると思う。
バンナムは爪を煎じてがぶ飲みしてほしい。
ラチェクラも面白かったし、良質な開発スタジオです。
いいから早くやろう。これが神ゲーだ
長々と語ってしまいましたが、それくらい語らせるほど近年まれにみる良ゲーでした。
冒頭にも書きましたが、クリアし終わった後、スパイダーマン自体にも興味が出て、今ストリーミングなどで映画を見漁っています。www
PS4スパイダーマンで映画版にも興味がでた人に作品ごとの特徴とオススメを教える
原作知らないファンに興味を持たせるゲームって凄くないですか。
現在このゲームは国内外で非常に高い評価を持って受け入れられているそうです。
私は本作がその評価が完全に価する出来だと確信しています。
ゲームとして今年一番と自信をもって薦められる作品『スパイダーマン』をぜひプレイしてみてください。